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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕


連隊戦の出陣で海辺にしばらく滞在するぼくたちは、ある日お休みとして海で遊ぶ事を許可された。

「刀の時は水に触れる事なんて出来なかったもんね」

そう、厚たちと話しながら水着に着替え、浮輪を持って海へ走る。

「波にもっていかれないように気を付けろよ」

長谷部から注意をされぼくたちは「はーい」と返事をし、体操をして海へ入る。

陽射しはまぶしいし日よけに着たラッシュガードはちょっと暑いけれど、刀の時は出来なかった事が出来るのは楽しい。



ぷかぷかと浮輪の真ん中で海に浮かんでいてぼーっとしていたら、気が付くととんでもなく沖に流されていた事に気付く。

まずい、波にもっていかれた。

ぼくは慌てて戻ろうとするけれど、波のちからが強くなかなか戻れない。

すると、すぐ下で何か大きいものの影に気付いた。

それもひとつではなくふたつ、みっつ。

複数の鮫かとぼくは益々焦って戻ろうともがくけれど、浮輪をしているしもともと泳ぎは得意じゃない。

助けて、と声をあげるものの届かず、ぼくは刀剣なのにおさかなのごはんになっちゃうのか、と泣きたくなった。



途端、運の悪い事に足がつって浮輪からずるりと抜けてしまい、海へごぼごぼと引きずり込まれてしまう。





ああ、主さん、いち兄、みんなぁ…さようなら…
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