第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
「じゃあ主さんはその三人の人魚にお礼にキスしたって事?」
「うん、まぁ、そういう事」
「その人魚たちって、おんなのこじゃなかったの?」
ぼくの更なる突っ込みに、そうなんだよねぇ、と主さんは笑った。
「私も人魚姫って童話を読んでいて、てっきり人魚って女しかいないと思っていたんだ。だからその三人が男性人魚だからちょっと驚いたっけ」
「へぇ。じゃあ主さん、案外その人魚たちに今でも探されてるかもね」
何の気なしに言った事に、主さんは目を丸くする。
「どうして私を探すの?」
「だって、もしかしたら、その人魚さんたち、主さんをおよめさんにしたいかもしれないじゃない?お礼とはいえキスしてくれたんだから」
すると主さんはケラケラ笑う。
「それは無いでしょう、さすがに。それにあれから何年も経っているんだよ」
主さんは人魚だってそこまで覚えてないでしょ、とひとしきり笑って言ったけれど、ぼくはそうかなぁ、と思ったんだ。
だって主さんのこどもの頃の写真を見せてもらった事があるけれど、今だって綺麗だけどこどもの頃だって既に今を思い起こさせる可愛さがあったんだもん。
人魚だって一目惚れしちゃったから、主さんを助けてくれたのかもしれないよね?
まぁ、もし、主さんを連れに来たら、ぼくたち刀剣男士が相手になるから、連れて行くのは難しいけど。
それを言ったら主さんは「頼もしいね」と言って、またひとしきり笑った。