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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕


「浮輪に絡んできたのが手じゃなくてタコの足だったんだよね。それにからだの色がヒトとは違う色だったし、こども心にああ、ヒトじゃないんだって思ったんだよねぇ」

そのまま主さんは話しを続ける。

「でもね、とっても親切だったよ。私を慰めてくれながら陸近くまで運んでくれたんだ」

「ふぅん。また会えるとは思わない?」

「そうねぇ、会えたらお礼をもう一度ちゃんとしたいけどねぇ」

少し遠い目をする主さんに、ぼくはふと気になって聞いてみた。

「主さん、その時のお礼って何かしたの?」

するとぼくを見て、ちょっと赤くなって慌てたように答えた。

「あ…えっと…まぁこどもだったからね…気にしてなかったもんだから…」

「えー、なーに?そういう風に言われると気になるなぁ」

ぼくが更に突っ込むと観念したように主さんは言った。

「まぁこどもだったしねぇ。助けてくれたお礼に人魚たちにキスしたんだよね」

ん?人魚「たち」?キス、した?

ぼくは主さんの発言をもう一度咀嚼して、「え?」と聞き直した。

人魚ってひとりじゃなかったの?

「あれ?言わなかった?タコの人魚の他にヘビの人魚がふたりいたよ」

海にヘビっているの…あぁ海ヘビの人魚かぁ、変わった人魚がいるんだなぁ、と思いながら主さんに聞く。
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