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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕


主さんの近侍としてお仕事を手伝った時、不思議な話しをぼくは聞いたんだ。



「人魚に会った事があるの…?」

人魚ってあれだよね、上半身はヒトだけど下は魚っていう不思議な生き物。

「どうやって会ったの?って言うか、人魚って存在するの?」

ぼくは驚いて主さんに質問を投げかける。

「本当に一度きりなんだけどね…」

そう言って話してくれた主さんの話しは、簡潔させるとこういう事だった。



こどもの頃、家族で海に遊びに来た主さんは、浮輪を使っていたものの波にながされてしまい、自力で陸へ戻れなくなってしまったそう。

どうしよう、死んじゃう、助けて、と泣いていたら、海の中から人魚が現れて、陸近くへ運んでくれた、というもの。

「なんで人魚ってわかったの?」

「そりゃあ上半身はヒトで、下半身は魚だったもの。いくらこどもだったとは言え、間違える事は無いよ」

「海の中にいたら、下半身見えないんじゃない?」

ぼくの突っ込みに「うん、確かにね」と言って、主さんは続ける。

「でもね、運んでくれたのがヒトの手じゃなくて、タコの足だったんだよね」

タコ?タコってタコ焼きのあのタコ?

ぼくのドン引きした表情に主さんはくすくす笑う。
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