第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
俺があれこれ言うより先に何がおきたのか説明する雅に、俺は黙って聞くだけだった。
俺に話してどうなる事でもないだろう?
「じゃあ、あんたはどうしたいんだ?長谷部が駄目なら誰なら良いんだ?」
俺は面倒臭くて話しを終わらせるつもりで問うた。
俺の質問にさっと雅の顔が赤くなる。
「どうした?顔が赤い。熱でも有るのか?」
病気になられて審神者の仕事に影響が出ては困る、と俺は片手を伸ばして雅の額に触れた。
途端、びくりとからだを固くしたのに気付くが、俺は気にせず額に触れ「熱は無さそうだな。具合が悪いなら部屋へ戻ってすぐ休め。歌仙か燭台切でも部屋に行かせるか?」
さすがに長谷部を部屋にやるのは気まずいだろう、と俺は他の男士の名を出した。
ところが雅は首を左右に振って、そして、思い切ったように口を開いた。
「…お部屋に来てくださるなら、同田貫さん、貴方に来ていただきたいです…」
ふーん、俺か…え、俺…?
意味も理由もわからず、俺は驚いて目の前の雅を無言で見下ろした。
「なんで…俺…なんだ…?」
俺はむしろ世話焼きでは無いし、いつでも前面に出て戦っていたい刀だ。
一体何故俺を近侍のような状況に置きたいのか…雅の赤く染まる顔を見ていて、まさか、と思いつつ、聞いた。