第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
俺以外はレベルも高いし戦闘に慣れているが、俺だってもともと武器として人に使われていた刀だ。
人型になったからどうって事ねぇだろ、と思いながら刀を鞘から抜き、目の前の脇差と対したものの、使われていた刀から使うヒトとは勝手が全く違っていた。
思った以上にからだが反応しねぇ。
たかが脇差に致命傷となるような傷すらつけられない。
焦れば焦る程失敗する。
何故だ、何故だ、俺は他の男士同様に戦えるはずなのに。
俺の空回りした覇気だけが脇差を通り抜け、空中に消えていくのは何故だ。
俺だけとどめをさせずにいるのに気付き、俺は焦って刀を振り回したところ、隙が出た脇腹を時間遡行軍に狙われた。
やべぇ、やられた、そう思ったが俺は何ともなく、むしろ相手の時間遡行軍から『ぐぉ』という小さいうめき声が聞こえてきて、俺がその声の方向を見ると、俺の後ろから槍が出てきて時間遡行軍の腹に刃が突き抜けていた。
「…御手…杵…」
槍の名前を呼ぶと後ろから陽気な声で「危なかったな、怪我してないか?」と声を掛けられた。
「…あぁ…何とも、ない…」
刺された時間遡行軍は砂にようになり、ざらりと消える。
「おーい、こっちは終わったぞ」
「こっちもだー」とあちこちで声があがり、時間遡行軍を倒して本丸へ戻る事になるが、俺はたかが一体すら倒せず、内心屈辱感でいっぱいだった。