第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
言われたとおりにやってうまく回せるようになったから、道具とは不思議なものだ。
俺がそのまま堀川が声を掛けるまでごまを擂り、ごま和えが完成した。
わいわいとにぎやかな広間に、全男士と審神者たる雅が集まり、雅が簡単に挨拶をすると早速盛り上がった宴会が始まった。
燭台切たちの作った料理が並び、酒好きの男士は固まって最初から呑み始める。
雅が燭台切たちと話していたと思うと、こちらにやって来て言った。
「同田貫さんも台所を手伝ってくださったそうですね、ありがとうございます」
頭をこちらに下げる雅に、俺は手にしていた杯の酒を一気に呑み干して言う。
「別に礼を言われる事じゃねぇよ」
「初めてにしては上手でしたよ、ほら、このごま和えのごまを擂るのを手伝ってくれたんです」
堀川が俺にとっては余計な事を口にし、雅や周囲にいる男士たちに感心される。
ごまがうまく擂れるより、俺は武器なんだから戦いで評価されたいものだ。
そう内心思ったところ、雅は俺の心を読み取るように言った。
「同田貫さんも一度難しくないところへ出陣してもらったほうが良いですね。そういう場所が来たら部隊に編制しましょう」
「おう、それは楽しみだな」
俺はようやく出陣出来るという思いに、ぞくりと肌を期待で粟立てた。
宴会はにぎやかというよりうるさいの一言だったが、遠征部隊が帰ってきたばかりだという事で日が変わる前にお開きとなり、ぐだぐだに酔っぱらったのや遠征に出た男士たちを先に引き上げさせ、動ける男士たちと雅で片付けをした。