第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「手伝うよ」
「歌仙くん達は出陣していて疲れているし、今日の主役だから休んでいて良いんだよ」
燭台切が慌てたように言うものの、歌仙はたすき掛けをしながら言う。
「何言ってるんだい、きみだけで用意出来る量では無いだろう?」
歌仙は手際よく野菜を手にするとざっと洗い、器用に皮を剥き始めた。
「同田貫さん、すみませんがぼくを手伝ってもらえますか?」
歌仙を見ていると堀川に話し掛けられる。
「ごま和えを作るのに、ごまを擂(す)るんです。すり鉢を押さえていてください」
「おう」
大きなすり鉢を両手でしっかり押さえると、堀川はごまをその中にざざっと入れると、すりこぎを持ってごりごりと擂り始めた。
「うまいもんだな」
綺麗にすりこぎを回しながらごまを擂る堀川を褒めると、「やってみますか?」と言われ交代してみた。
「おい、うまく回らないぞ」
簡単に堀川がやっているから簡単だと思いこんでいたら、何故だ、綺麗に回せない。
すりこぎがすり鉢のあちらこちらに当たり、堀川のように綺麗に回らないのだ。
堀川はすり鉢を持った手を離さずに、俺へすりこぎの持ち方から指導してきた。
「効き手でないほうですりこぎの頭を軽く覆い、効き手でぐるぐる回します…そうです、すりこぎの頭部分を支点にします」