第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
変な感情に俺は内心首を傾げるものの、気にしない事にしよう、と感情に蓋をした。
近侍が回って来ないので雅に近付く事もなく、毎日内番をしているうちに連隊戦に出掛けた部隊が帰ってきた。
海辺で戦ってくるらしく、戻ってきた全振りが変な日焼けをしていて、加州や次郎太刀にからかわれている。
「皆様、無事におかえりなさいませ」
いつもの服装だったが部屋からいつの間にか出て来ていた雅は、深々と座って頭を下げる。
「主」
ずい、と他の男士を掻き分け、一番前に出てきた長谷部は布を巻いた刀を手にしていた。
「こちらが新しい刀、治金丸です。お納めを」
布にくるんだそれを受け取った雅は「ありがとうございます」と深々とまた礼をすると戻ってきた男士たちに言う。
「皆様、おつかれさまでした。いったん休憩なさって、夜はねぎらいの宴とします」
その言葉に酒好きの男士たちが「やった」と歓声をあげた。
「燭台切さん、私もお手伝いしますね」
「お願いするよ」
燭台切に声を掛けて雅は立ち上がりながら何気なく口を開いた。
「今日の近侍はどなたでしたっけ?」
「当番の近侍とお話しされてないのですか?」と近侍について長谷部が少々咎めるように声を掛けた。