第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「あれも主から教えてもらった、ヨガとか言うやつだ」
「よが?」
聞いた事もないものに俺は首を傾げる。
「激しい鍛錬をしなくても、からだの中を鍛える事が出来るらしい。何人かが主からやりかたを教わったのだ」
「しょっちゅう自分をじじぃ扱いしている三日月こそ、ヨガをやれば良いじゃん」
近くにいた男士からからかわれるように言われた三日月は、はっはっは、と笑いながら答える。
「確かにじじぃには、ああいうゆったりした動きで鍛錬が出来るのは良いものだな」
見た目は俺とそう変わらない三日月が自分を「じじぃ」扱いしているのは、よく考えたら不思議だ。
刀の年齢と見た目が一致しない、これが付喪神なのか、と改めて納得する。
変わったポーズをとる奴らを横目にしつつ、俺はかるたをする雅を眺める。
かるたやよがを通して他の男士と仲良くなろうとしていて良い傾向だ。
加州に話して正解だったようだ。
やがてかるたも終わり、雅の圧倒的勝利と傍から見ていてもわかった。
「主、強いなぁ」
男士たちから口々に言われて、雅が恥ずかしそうにしている姿も、男士たちから好感をもたれたようだ。
俺は部屋にこもり気味だった雅が、他の男士たちと接するようになって良かったと思う反面、独り占め出来なくなるな、という思いも少なからず、何故か覚えた。