第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
小烏丸がおっとりと答える。
「…かるた…」
俺が小さく呟き、他の男士から「同田貫は覚えているか」と聞かれるが、雅なんぞ俺は無縁だったから覚えてなぞいねぇ。
左右へ首を振ると別な男士から「まぁ見ていきな。主の強さ、すごいぞ」と言われ、どんなもんだと思いながら中へ入り、空いている場所へ腰を下ろした。
「思いわび…」
「はいっ」
声を共にぱしっと軽い音がし、また雅が札を取ったのだった。
ほぅ、と感嘆の声が全員から漏れたのは、過言で無いだろう。
「主は百首全てを覚えているそうだ。同田貫はどうだ、相手になれそうか?」
すぐ近くに座っていた三日月宗近が、にこにこしながら俺に教えてくれつつ、俺に次にやらないか、と誘ってくる。
「いや、興味ねぇ」
下手に濁すと次にやらされそうだし、俺はこういうものは苦手だから即決で断る。
「そうか、やりたくなったらいつでも声を掛けてくれ」
三日月にそう言われたものの、やった事もないものをやる気はしねぇ。
広間の隅には数人の男士が横になっていて、妙な動きをしていた。
「あいつら、何しているんだ?」
俺が顔をそっちに向けて聞く。