第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「ああ、だが部隊の編制はほとんど長谷部が補佐して編成するから、拙僧たちが編成を手伝う事はほとんど無い」
きっぱり言い切られ、近侍の能力を最初から無いとみられているような気分になり、俺は少々面白くなかった。
この後は無言でざっと全身を洗うとさっさと湯に浸かり、山伏より先に浴場を出た。
一応近侍だから審神者部屋へ寄るか、とその方向へ足を向けたものの、部屋には誰も居なかった。
雅はどこへ行ったのだろうと廊下を歩いていると、広間のほうから騒がしい声が聞こえてくるので足を運んだ。
「おおっ、主、素晴らしい」
誰かの声が聞こえて俺は何をしているのだろうと、広間の障子を開けた。
「あさぼらけ、う…」
「はいっ!」
ぱしんと何かをはたくような音がすると共に、目の前に前かがみになる雅と、その反対側に江雪左文字が同じような体勢で座っていた。
俺が障子を開けた事で、目の前に座っている小烏丸が振り返った。
「おお、同田貫か。鍛錬は終わったか?」
その言葉に前かがみの雅と江雪、そして周囲の男士たちが一斉にこっちを見た。
「あら、同田貫さん、終わられたのですか?」
雅もこちらを見て話し掛けてきたので、俺はこの場に呑まれたように頷いた。
「今、主とかるたをやっているのだが、なかなか強くて誰も勝てないのだよ」