第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「私の説明でわかってもらえて良かったです…」
安堵する姿を見て、昨日持ち上げた軽いからだの感触を瞬間思い出してしまった。
俺は何を考えていやがる…
頭の中からそれを急いで追い出した。
「お茶、淹れますね」
俺がぼんやりしていると雅はさっと手際よく準備してお茶を淹れてくれた。
「どうぞ」と雅から湯呑を受け取り、ずずっと熱いお茶を飲み、思った以上に熱いお茶に「あちぃ」と慌てて湯呑を茶卓に置くが、乱暴に置いたせいか少しお茶が手の甲に飛んできた。
「だ、大丈夫ですか…熱すぎましたか…」
慌てる雅は立ち上がり、布巾を部屋に備え付けてある小さな水場で濡らしてくると、俺の手の甲に押し当ててきた。
「あ、おい、これくらいは…」
大丈夫だ、そう言おうと思ったのだが、雅は真剣な顔で俺の手を見つめていた。
「いえ、同田貫さんのおからだに何かあっては大変です…!」
隣に座って手に布巾を押し当てられ、妙に体温を感じてしまうだろうが。
おまけに何てことはねぇ、ただ俺の名を呼ばれただけなのに、何なんだ…
「…もう、大丈夫かしら…」
時間にしてほんの数分だろうが、俺には長い時間に感じられた。
ようやく雅の手が離れ、俺は自由になる。