第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「…そうか。わざわざすまねぇな」
知らせに来てくれた事に礼を言うと、平野はぺこりと頭を下げて去って行った。
どかりと座り座卓に頬杖とつき、先程のあの霊力のつよさを思い出す。
あれだけの霊力を放つ事が出来るとは、ただの弱っちい小娘ではなさそうだ。
森に居るような深くて心地よく清しい空気感は、出陣しない男士のちからすらも引き出して強くなったと思えるようだった。
あの空気を味わってから出陣すると、どれだけ自身のちからが強くなるのか、試してみたくなるが顕現したばかりの俺には出陣の声は当分かかりそうもない。
とにかく鍛錬して強くなるしかない。
内番以外の時間の許す限り、俺は自身を鍛える事とし、早く出陣する事を目標とした。
しかし翌日、俺に課せられた仕事は近侍だった。
ほぼ一日、雅についている事になるため、鍛錬はほぼ出来ねぇな。
そう思いながら朝食の後、審神者部屋へ行って声を掛けて部屋に入った。
「今日は同田貫さんが近侍なのですね、よろしくお願いします」
日の光の入りかたのせいで顔がよく見えない。
雅の顔色は戻っているのだろうか、俺はつい無言で雅に近寄り顔を眺める。
俺は顔を近寄せたままそれでも顔色を確認し、「問題ねぇな」と小さく呟いた。
「…あ、あの…ぅ?」
俺が無言で顔を近寄せたのに驚いたのか、まばたきをぱちぱちとしながら恐る恐る俺に声を掛ける雅。