第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
連隊戦に遠征する男士たちが本丸の庭先でわいわい騒いでいるのを、俺も見ていた。
そこへ全身白い装束を身に着けた雅が現れ、みな、ぴたりと口を閉ざす。
何が起きるのだろう、傍からそれを見ていると、側にいた三日月宗近が話す。
「よく見ておれ、同田貫正国。主の本当のちからを見られるぞ」
本当のちから?
遠征する24振りの並ぶ前で、静かに立つ雅は両手をかざす。
「皆様が無事戻れますように」
ひとこと言った途端、あたりの空気が瞬時に変わった。
森閑とした涼やかな霊力があたりを覆い、それは本丸に残る俺にすら俺自身のちからを増幅させるような、穏やかでありながらちから強い空気が、心地よく身に降り注いできた。
しばらくしてぴたりとその霊力は止まる。
「行ってらっしゃいませ、皆様のご検討を祈っております」
その場で正座し、男士たちに深々を三つ指をついて頭を下げる雅。
遠征に行く一振り、へし切長谷部が言った。
「主、お顔をあげてください。俺たちにお任せください。新しい脇差も連れて帰ります」
すると頭をあげた雅は穏やかに微笑む。
「はい、皆様、お願いします」
「じゃあ、行ってくるねー」
短刀たちの明るい声で彼等は出発し、残った男士たちも内番などでその場を離れて行った。