第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
そうなると三日月宗近たちは既に極めて強くなっているという事か。
「いや、そうじゃないんだ。太刀はまだ極める事が出来なくてな、だから修行に出ていない」
なるほど、強いけれど極める事が出来ないから、本丸の守りに残っているって事か。
俺がこう答えると御手杵は「そう、そう」と頷いた。
「今回それなりの実績を作れば、新しい刀剣男士を連れて帰ってくるかもしれないぞ」
御手杵がふと気付いたように口にする。
なんでもこの長期の出陣で結果を残せば、新しい脇差を連れて帰ってくるらしい。
これは時の政府から主に連絡がきていて、長谷部が新しい男士を主の為に連れて帰るぞ、と息巻いていた、とその時の長谷部を見ていた男士が話していたという。
「あ、それから忘れてた。そういや明日、同田貫、あんたが近侍当番だからな」
「…俺?」
いきなり言われて一瞬戸惑う。
「近侍なんて何をするんだ、俺はそういうの苦手なんだが…」
文句ではないが、そういうめんどくさそうなのはやりたくない。
「あー、細かい事は主が自分でやるし、それか長谷部が戻ってきてからやるだろうよ。とりあえず主の普段の仕事の手伝いをちょっとするだけ。難しい事はないから」
俺は細かい作業は苦手だから、近侍なんて気が重くてしようがないが、本丸の男士も少ないし仕方ないか。
あの弱っちい主の相手なんてめんどくせぇ、そう思っていた。
あれを見るまでは。