第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「そぉ。ここの本丸は刀が顕現されると、お祝いをするんだ」
俺が顕現されて祝宴を開くなんて、暇な本丸だな、と思うが黙って受ける事にした。
宴会の席では次から次へと酒を呑まされる。
とにかく隣に座った次郎太刀という大太刀が呑み、それにつられて周囲も呑み、そしてこっちも呑まされる。
「同田貫、あんた、良いオトコねぇ」
次郎太刀に酒を注がれながら言われるが、オトコに口説かれても面白くねぇ。
「…俺のどこが良いオトコなんだ?」
酒を注がれて一気に飲み干してから、何故俺が『良いオトコ』なのか聞く。
そんなのは社交辞令だ?
わかっているが聞かねぇと、俺が納得出来ないだけだ。
「んふ、さっきの言葉を速球で戻してきたの、同田貫が初めてよ」
空になったおちょこを寄越しなさい、とジェスチャーされ、それを突き出すとまた酒を注ぎながら次郎が口を開く。
「アタシが良いオトコって言った訳はね、顕現されたばかりなのに飲みっぷりが良いからよ。精悍な顔もしてるしアタシの好みなの」
あはは、と豪快に笑いながら一気に酒を呑む次郎太刀の姿に驚いたものの、さっぱりと裏表の無さそうな性格が俺は好ましく思った。
それにしても次郎太刀の『良いオトコ』の基準は酒をたらふく呑む事とはな。
それを後で御手杵に話したら、こいつもげらげら笑いながら「次郎太刀の良いオトコの基準は、あれに付き合えるだけの酒が呑めるかどうかだからなぁ」と言い、ひどく納得した。