第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
なんでこの槍となんだろう、と思ったが、何か理由があるのだろう、深く考えずに「よろしく」と短く御手杵に挨拶した。
すると広間にいたこどもたちが俺の近くに集まってきた。
…まさか先程の審神者のこどもたちなのか?
俺の疑問が顔に出ていたのだろうか、加州清光がくつくつ笑う。
「違う、主はまだ独身だよ。このこどもたちも刀剣で、粟田口の短刀たち」
「あぁ…そうなのか…」
粟田口の短刀たちは口々に名乗ってくれるのだが覚えきれない。
乱藤四郎、薬研藤四郎、厚藤四郎…全員、藤四郎の名が見事についているなぁ。
こどもたちの後ろに立つ、水色の髪の綺麗な顔をしたおとこは誰だろう、と思っているとそいつが口を開いた。
「弟たちが失礼をしました。私は一期一振。粟田口藤四郎唯一の太刀です」
へぇ、藤四郎ってやつは短刀ばかりを作っていたのか。
「そうですな、藤四郎は短刀作りを得意としてましたので、それはそれはいろいろな短刀を鍛刀してますな」
黙っていると各刀剣の違いについて説明されそうだったので、俺は慌てて「よろしく」と挨拶すると一期一振も同様にし、短刀たちを連れて座っていた席へ戻っていった。
広間ではいくつかにわかれて何か作業をしているようでそれを聞くと、加州清光はこっちを振り向いて言った。
「同田貫正国、貴方がこの本丸にきたお祝いだよ」
「…俺の?」