第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
弱々しい細腕の審神者とやらが、俺をどうやって扱うのかと思っていたら、部屋の外から声が掛かり、ほっそりした少年に近いような赤い目をしたおとこが入ってきた。
「顕現出来たんだね、主」
そのおとこは審神者に声を掛けると座ってこっちを見る。
「初めまして、俺、加州清光。新選組の沖田総司に使われていた刀で、この本丸の初期刀だから一番なんでも知ってるよ」
軽い口調とはいえ自己紹介をされて、俺も無言でいる訳にはいかない。
「同田貫正国だ…」
ぼそりと名前だけ名乗ると、加州清光と名乗った刀はすぐ立ち上がる。
「はい、じゃあ立って。この本丸案内するから」
仕方ない、と俺は立ち上がり審神者を残し加州清光に本丸を案内された。
一通り案内を終えると今度は広間へ連れて行かれる。
各刀派ごとの部屋はあるが、大勢が集まるその部屋に数振りの男士がいた。
「あっ、いたいたー御手杵―」
御手杵と呼ばれ、振り返ったのは茶髪の大柄な男士だった。
「なんだ?」
御手杵は立ち上がりこちらへ近付くと、その大柄な体躯を余計に感じる。
「こっちは御手杵、三名槍のひとつ。こっちは顕現したばかりの同田貫正国」
御手杵は長身を少し曲げ、片手を出しながら挨拶してきたので、こちらも同じように返すと、加州清光が部屋をこの御手杵と同室で、と言ってきた。