第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
「どう…たぬき?」
目の前の、審神者と言うニンゲンが俺の事をこう呼んだ。
「…違う、どうだぬき、だ」
俺は一拍置いて苦虫をつぶしたような表情を作って言う。
名前を間違えられるのは非常に不愉快だ。
そんな思いが出ていたのだろう、目の前のニンゲンは焦った表情で俺に謝る。
「ご…ごめんなさい、お名前を間違えてしまいました…」
何でだろう、とにかく、気の小さそうなその様子に、俺はイラつくのだ。
とにかくこのニンゲンの前から早く去りたい、そう思う。
「…どうだぬき、さん、当本丸へようこそおいでくださいました」
俺のむすりとした表情を見ながら、ニンゲンは挨拶をしてくる。
「私は雅と申します。この本丸の審神者です。よろしくお願いします」
「…そのサニワとやらは、俺たちに何をするんだ?」
俺がためいきをついて雅に質問すると、雅と名乗ったおんなは審神者の職務について説明する。
俺たちは本来ニンゲンに使われる刀剣だ。
そうなのだが時間遡行軍と名乗る歴史を改ざんする者と戦うため、審神者によってヒトの姿を得たのだ。