第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕
すぐ戻ってくると思った主は、なかなか戻ってこず、そのうち今日はあちらで泊まると連絡が来たそうだ。
余程相手の女性が気に入ったのだろうか、と男士たちは珍しい主の状況を話し続ける。
なので雅さんはこの本丸に泊まる事になった。
ぼくは彼女に他のみんなが気を取られている間に、例の地下室へこっそり行く事にする。
とにかく彼女から離れていないと。
そしてこのおかしくなっているからだを何とかしないと。
誰にも見られないようにあの部屋に入り、そっと地下室へ降り扉を開く。
急いで本棚を見て時間遡行軍に関するものがないか探すものの、それらしいものは無い。
あの香りの本の目次を見て、時間遡行軍の血が、男士を欲情させるものを持っていないか探すものの、そんな記述も無い。
どうしよう、このままではまたぼくは雅さんを、襲いたくなってしまうかもしれない。
やたら下半身が熱くてもやもやしているんだ。
あまり長時間はいられず、本棚の反対の棚の小瓶を見る。
前回は時間が無くてちらりと見ただけだった小瓶、今回は手にして何が書かれているかラベルを見る。
ひとつの瓶に書かれていたものを見て、これを飲ませれば、ぼくの疼きが収まると気付く。
『堕とすための秘薬』
ぼくはそっとこれをポケットに入れ、急いで部屋から出てみんなの許へ戻った。
これをどうやって雅さんに飲ませようか…