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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕


邪気の無い声で一振りが問い、乱れた着衣を隠しつつ直していた雅さんは、その場で一瞬固まったようにぼくには見えた。

「…あそこの…本を…」

瞬時に指差しして答えたのは、机に並べられた数冊の本。

「あれ、兄が私に審神者について勉強するようにって用意してくれた本なの」

「え…じゃあ、ぼくたち勉強の邪魔しちゃった?」

雅さんの言葉に、勉強の邪魔をしてしまったのかと動揺する短刀たち。

でも雅さんは微笑んで「大丈夫。文字がいっぱいで読んでいても面白くなくて、すぐ飽きちゃった」と言ったので、短刀たちは「じゃあ、遊ぼう」と喜んだ。

ぼくは下がるならこのタイミングだ、と思い、立ち上がって声を掛けた。

「それじゃあぼくはこれで。あとはきみたちに任せるよ」

「はーい」

ぼくは襖を開けて頭を雅さんに深々と下げると、襖を閉めて審神者部屋から離れた。

とにかくぼくは雅さんから離れなくてはならない。

近くにいたら、ぼくは何をするかわからない。

あの時間遡行軍脇差の血が、雅さんに近付く事でぼくに何か影響を与えてるみたいで、主が戻ってきたらこの事を相談しなくちゃ。

それにしても雅さん、柔らかくてずっと触れていたかった。

そしてもっと奥深い秘めやかな場所を探りたかった。

ぼくは発生したからだの奥の疼きを、必死に耐え隠すしかなかった…
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