第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕
「ん…んっ…ぁ…」
雅さんのくぐもった声が聞こえる。
空いている手を滑らせるように下へずらし、足のつけねに触れようとした時だった。
きゃきゃっと複数の足音と声が近付いてきたんだ。
「雅様、主様のお部屋にいらっしゃるんですね」
「一緒にあやとりしたいな、ぼく」
「ずるい、人妻ごっこしたい」
「包丁のそれ、なんか危ないな…」
粟田口の短刀たちがこちらにやってくるのに気付き、ぼくは跳ねるように起き、雅さんも慌てて起き上がると急いで着衣の乱れを直す。
そしてその足音と声は、この部屋のすぐ前で止まり、一振りが声をあげた。
「雅さーん、入ってもいーい?」
雅さんは一瞬こちらを見、ぼくからすぐその目を背けると声をあげた。
「うん、どうぞ…」
ぼくは急いで少し離れ正座をしたところで、襖がカラリと開き短刀たち四振りが姿を見せた。
「雅さーん、遊びましょ」
乱藤四郎が軽く走って雅さんに抱き着くと、他の三振りが先を越されたとばかりに同様に抱き着いた。
「ねぇ、何してたの?」