第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕
「ま、来たばかりだもんね。いろいろこの本丸、他の本丸と違うらしくて全部を知っているの、兄と最初からいる男士たちくらいじゃないかな」
相当この本丸は特殊らしい、とわかってぼくは小さく息を吐いた。
主の部屋についてぼくが襖を開けようとすると、雅さんに声を掛けられる。
「ちょっと見てて」
雅さんが開けようとするもののその襖はびくともしない。
「ふぬぬぬぬ…」
声を掛けながら開けようとするけれど開かない襖に、ぼくが手を掛けるとするりと開いた。
「きゃっ!」
いきなり開いた襖のせいでバランスを崩した雅さんが、ぼくにもたれかかってきたのでぼくがそのからだを支えると、またあのからだの芯に熱のこもる感じがくる。
雅さんの柔らかい感触にごくりと生唾を呑み込む。
駄目だ、彼女は主の妹なのに。
頭ではいけないとわかっている。
からだが止まらない、どうすれば良いんだろう。
雅さんを支えた自分の手が、そのまま腰と肩に巻きついて後ろから抱き締める。
「…あ、の…ほり、かわ…?」
途端、少しおびえたような雅さんの声。
その声すら何故か誘われているような音をもつ。