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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕


もし、そのおかしな匂いというのが、ぼくがその返り血によってつけられたとしたら。

時間遡行軍の脇差が特殊な匂いを出す血を持っているなんて聞いた事はないけれど、たまに珍しい脇差がいるのは耳にしている。

短刀でも何故か、二体だけで部隊を作って刀剣男士と戦うのもいるんだ。



ちらりと他の男士を見ると全く様子を変える事なく、ずんだ餅をほおばる雅さんと楽しそうに話しを続けている。

やっぱりぼくが何かおかしな事になっているかもしれない。

誰に聞けば良いんだろう、主に聞きたいけれど今は不在。

戻ってくるまでこのおかしな感覚と向かわなければならないのかな…

そんな事をぼんやり考えていると、ずんだ餅を食べ終わった雅さんが主の部屋に行きたいと言うので、空いているぼくが連れていくことになった。

「堀川、お願いね」

にこりとする雅さんにぼくはまた少しどきりとする。

一緒に廊下を歩きながら疑問を口にする。

何度もここに来ているなら、ぼくが案内しなくても一人で主の部屋へ行かれるのではないか、という事。

すると雅さんは驚いた表情を見せてぼくを見る。

「え…知らないの?あの部屋は兄が特殊な結界を張っているから私では開けられないの。この本丸の、兄によって顕現された男士なら開けられるんだよ」

「そんな事、初めて知ったな…」

ぼくも驚いて答えると雅さんは肩をすくめる。
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