第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕
「こんにちはー」
聞いた事のない声がして男士たちが一斉に入口へ走っていく。
ぼくも後ろからついていくと、先に行った男士が何やら囲んで話し掛けていた。
「雅ちゃん、元気だった?」
「久し振り、綺麗になったね」
「主の向こうの世界の事、話しを聞かせてよ」
口々に話し掛ける中、ちらりちらりと可愛らしい声が相槌をうつのが耳に入る。
そしてようやく解放されて、男士の生垣から姿を見せた子は、確かにぼくが写真で見たあの子だった。
「あなた、初めて会うよね?何て言うの?」
ぼくの姿を認めるとまっすぐこちらに来て、ぼくの刀名を聞いてきた。
「ぼくは堀川国広。新選組副隊長、土方歳三の脇差です」
ぼくが答えるとその子は少し目を見開く。
「新選組…じゃあ加州清光や大和守安定と一緒だったの?」
「はい、そうです」
ぼくが答えるとその子はくるりと後ろを向き、加州清光と大和守安定に話し掛ける。
「清光も安定も仲間が増えて良かったね」
彼らの返事を聞くとまたこちらを向いて言う。
「私はこの本丸の審神者の妹で雅です。兄がお世話になってます」