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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕


翌朝、やはりおなかをすかせた主や演練に行った男士たちは、作り置きしておいたおじやを喜んで食べたそうだ。

「誰が作ってくれたんだ?」

主が聞くと厨当番の歌仙兼定が「堀川くんだよ」と答えたところ、「あぁ最近顕現させた脇差か。彼は相当気が利くみたいだな」主はそう言ってくれたそうで、ぼくはぼくの出来る事で評価された事が嬉しかった。



ぼくもいつまでも顕現したばかりではいられず、時々手合わせ当番に入って相手の男士たちに鍛えてもらい、少しずつ錬度を上げて行き、とうとう初出陣を迎えた。

「堀川、落ち着いて行け。他の男士がフォローに入ってくれるから、武功をたてようと慌てるなよ?」

主が細いまゆをひそめて、初出陣のぼくに注意する。

「はい、気を付けます」

頷くものの、何故そんなに気にするのか、ぼくがそんなに信用出来ないのかと思う。

その表情を読まれたのか、主が言う。

「堀川、きみが悪いんじゃない。ただうちの本丸の男士は、どうも功を焦る傾向があるから、初陣でいきなり重症を負って帰ってくることがあるんだ。俺はそれが心配だから言っている。きみはどちらかというと慎重派だから大丈夫だと思うが、やはり気掛かりなんだ」

あぁ、そういう事か、とぼくは納得する。

「とにかくみんな、無事で戻ってきてくれ」



心配されながらの初陣だったけれど、たいした怪我もなく全員無事に戻ってこられ、主は安堵した表情をみせる。

しかし、その後、美しい形の眉をひそめてすん、と鼻をうごめかした。
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