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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕


やっぱり加州清光似の美貌なのだろうかと思うと、次に彼に会ったら正気でいられるかほんの少し自信がなかった。

夕方になって演練からみんなが戻ってきて、その中に加州清光もいたのだが、どの男士も明らかに疲れ切っていて相当な数の演練をこなしてきたのだろうと思わされた。

「食事はいいから…とにかく…寝たい」

六振りは一様にそう言ってさっさと自室へ各自去ってしまった。

主も「疲れたなぁ」と言いながら、今日の近侍の男士に「俺も悪いけどこのまま寝るわ」と言い残し、自室へ戻ってしまった。



留守番の男士たちでその日の夕飯を食べたのだけど、留守番の男士の一振りは「あの疲れかたは相当政府にやられたな」と推測する。

ぼくは意味がわからなくて話しを聞くだけだったけれど、つまり、この本丸の主はいろいろな点で成績がむしろ良すぎて時の政府から目の敵にされているらしい。

それでその主をへこませてやろう、とやたら強い相手と対戦させられるそうだ。

勿論、対時間遡行軍だと思って戦わないとならないけれど、演練というのはやはりどこか相手が同じ刀剣男士であって、ほんの少しゆるみや手抜きがあるらしい。

それなのに、この本丸と対戦してくる相手は、どこも一切の手抜きは無しでかかってくるので、こちらも隊長を替えたり陣形や作戦を毎回変えて、と審神者も男士たちも頭も体力も使うとの事だった。

そんな状態なら、顕現したばかりのぼくが出陣なんて有り得ないというのがよくわかった。

「主も今日演練に行った男士のみなさんも、明日の朝はおなか空かせてますよね。今日残ったごはんは明日の朝、おじやにしましょうか」

ぼくが提案するとみんな頷いてくれて、そんな事から少しずつぼく自身が受け入れられているようで嬉しくなった。
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