第36章 もふもふ 〔五虎退〕
「はい、みんなが手伝ってくれます」
「そう、良かったわ。ねぇ、五虎ちゃん、こうして虎さんをまた連れてきてくれるかしら?」
主様はにこにこしてぼくに言う。
「虎さん全部連れて来てくれて良いのよ?」
「ええっ、いえ、それは、主様のお仕事の邪魔になりますから…」
ぼくは主様の言葉をそのまま鵜呑みしてはいけないと、慌てて断るものの主様は首を横に振った。
「そんな事ないってば。五虎ちゃんの虎さんたちは癒しなのよ?五匹のもふもふと遊びたいの。駄目かしら?」
「駄目じゃないです。あのぅ…本当に良いんですか?」
おそるおそる確認をすると、主様はにっこりして「本当に良いのよ」と言ってくれた。
すると他に誰も居ないと思っていた審神者部屋の隅から声がした。
「もふもふなら私ではいけませんか…?」
ぎょっとして主様とぼくがその声のほうを見ると、いつの間にか時の政府の使い魔であるこんのすけさんが来ていた。
「あら、こんのすけ、いつの間に来ていたの?」
主様がいじけるような表情を見せるこんのすけさんへ近寄り、おいで、と手を伸ばし主様はこんのすけさんを抱き上げ、また席へ座る。
そしてこんのすけさんを抱き上げた反対側の手で撫でる。
「こんのすけ、何をふてくされてるの?貴方もとっても可愛いわよ?」