第36章 もふもふ 〔五虎退〕
「いただきます…」
そう言ってぼくはマカロンに手を伸ばし口にすると、チョコクリームの甘い味が広がった。
「美味しいです…」
ぼくが感想を言うと主様はにこにこして「そう、良かった」と言ってくれた。
そして主様は牛乳を飲む虎さんを見て言う。
「虎さんね、お昼の後、私がここに戻ってきたら部屋の前に丸くなって寝ていたのよ。陽があたって暖かかったみたいね」
「そうなんですね…」
虎さんを可愛がってくれている上、ぼくにこうしてお菓子までくれて、てっきり主様に怒られるかと思っていたので少しぼくはびっくりしてしまった。
「ふふ…怒ると思った?」
まるでぼくの心をんだように主様に問われ、ぼくはこくりと頷く。
「怒らないわよ。五虎ちゃんの虎さんはみんないいこだし、むしろ癒しだもの」
主様は優しい表情を見せてくれてぼくは安心する。
「五虎ちゃんがいつも可愛がっていて、本当に毛並みも良くていいこねぇ」
「はい、とっても可愛いです」
主様が優しく言ってくれるので、ぼくは嬉しくなる。
「五匹もいるから五虎ちゃんも面倒が大変じゃない?粟田口のみんなが手伝ってくれるの?」
首を傾げて虎の事を聞いてくれる主様に、ぼくは頷く。