第35章 のんびり屋の恋 〔鬚切/R18〕
すぐ唇は離れ、また味わうように唇同士が触れ、また離れると鬚切は言う。
「口、少し開けてくれるかな」
言われて素直に少し上下の唇を離した雅に鬚切はまた唇を触れさせ、開けさせた口の中へ自分の舌を差し込んだ。
すると雅はびくりとからだを硬直させ、鬚切は動きを止めると雅のからだをさすって落ち着かせるようにし、それから舌を動かし歯列をなぞり出した。
「…んっ…」
戸惑う雅の吐息すら自分のものにするように、鬚切は口内を荒らし雅の舌を自分の舌で絡ませると、更に雅は動揺する。
鬚切は唇を離して顔をあげると、顔を赤くして息を荒げている雅へ言う。
「びっくりした?可愛いな…俺の主は…」
また雅の頬に鬚切はキスすると、雅のシャツの裾に手を入れ、いっきに胸までシャツをたくしあげた。
「あっ…やだ…っ…」
恥ずかしがる雅に微笑みだけ見せると、鬚切は下着の上からそのふくらみを包み込んだ。
「怖い?」
両手で包んだ胸をそれぞれ揉みながら問うと、雅は表情を歪ませる。
それは、怖いけれどもっと先の快感へ溺れたい、でも怖い、という両価感情に自分でもどうしてよいかわからなくなってしまっていた為だった。
触れられるのは気持ち良い、でも未知の行為に困惑する様子に気が付いた鬚切は、美しい微笑みを浮かべて「大丈夫、俺を信じてよ」と鼻先に一度キスした。