第35章 のんびり屋の恋 〔鬚切/R18〕
「…ん…っ…」
抵抗していた雅だったが、気持ち良くなってあげた小さな声を聞かれてしまう。
「その声、気持ち良いってことだよね…任せて。今夜はうんと気持ち良くなろう」
「…えっ…あ…っ…」
鬚切の手が雅の手を離れ、片手が肩から腕へをさするように撫でおり、それだけでからだが震える雅はもう抵抗出来ず、鬚切の柔らかな愛撫を受け入れ、小さく喘ぐ。
鬚切の顔がすぐ間近にせまり、薄い唇が雅の頬に触れ、ちゅ、ちゅ、とキスをしながら唇のすぐ横へ寄ってき、一度顔をあげた鬚切はまっすぐ雅の顔を見て言った。
「もう止められないけど…最後までしちゃうからね?」
ちゅうちょなく言う鬚切に、雅は見つめられたままごく小さく頷く。
「…そう…ありがとう、嬉しいよ」
鬚切はにっこり微笑み、からだを起こすと肩に掛けている上衣をするりと脱いで投げた。
細身のシャツもそのままぷちんとボタンを外し脱ぐと、無駄な肉がない鍛えられた上半身が雅の目にはいる。
恥ずかしくなった雅は顔を横へ向けてその姿を見ないようにするが、鬚切がからだを倒し「ぼくを見て」と囁く。
雅は一度小さくのどを鳴らし、ゆっくりまた正面へ顔を動かす。
目の前に目の光が妖しい色を湛えた鬚切が雅を見おろし、雅と目線がぶつかると鬚切は「いいこだね」と言った。
そして、そう言った瞬間、鬚切の薄い唇が雅の唇へ触れる。
「…ぁつ…」