• テキストサイズ

刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第35章 のんびり屋の恋 〔鬚切/R18〕


「それは彼の望みってことだよね。でもきみはどう思っているの?」

鬚切に問われ、もじもじとする雅は、少しの沈黙の後、ようやく口を開いた。

「私は…その…」

言葉に詰まり、空いている片手で鬚切が肩に掛けている上衣を掴む。

「何を考えてるかわからない…けれど…」

「うん?」

鬚切が強張った表情の雅を覗き込む。

「鬚切さん…貴方を…」

口を一度閉ざして、数回息を吐いて整えると、雅はまた口を開いた。

「…綺麗なグラスをくださった…貴方が…好き…かもしれません…」

途端、鬚切は雅の背中へ手を回し、自分の胸へ抱き締める。

「…鬚切…さ、ん…」

「…しぃっ」

鬚切はいたずらっぽく人差し指を雅の唇の前に立てると、彼女の肩へ顔を埋める。

「…はぁっ…いちおう、ぼくだって緊張するんだよ…?」

大きくやれやれ、と言わんばかりの口調でつぶやく鬚切に、雅は驚きながらもくすりと微笑む。

「…鬚切さんでもそんな風に思うんですね…」

笑みを浮かべる雅に余裕のある口調を見出し、鬚切も笑みを浮かべて顔をあげた。
/ 790ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp