第35章 のんびり屋の恋 〔鬚切/R18〕
「やっぱりお菓子は強いな」
膝丸は少し肩をすくめてくすりと笑うと、歌仙のところへ荷物を運んで行った。
いっぽう鬚切は審神者の部屋の前に来て声を掛けた。
「主、いいかい?」
「その声は鬚切さんかしら?どうぞ」
すぐ中から声がし、障子を鬚切が開けると端末の前に座って作業をする審神者が居た。
「…ひとりかい?」
近侍の山姥切がいない、とくるり部屋を見回す鬚切に、審神者は首を傾げて言う。
「あぁ、山姥切さん?彼ならちょっと鍛刀部屋に用があって行ってもらってるの…で何か用ですか?」
端末から顔をあげて鬚切を見る審神者は穏やかな表情を見せる。
「これ、万屋で主に似合うと思って」
袋ごと審神者に鬚切は買ったものを渡す。
「…え…?私に…?」
驚く審神者に、鬚切はにこりと笑みを浮かべて頷く。
「ありがとう…開けていい?」
「もちろん」
短い会話の後、審神者は袋から小さい箱を取り出し、蓋を開けて取り出す。
「わぁ、綺麗!」