第35章 のんびり屋の恋 〔鬚切/R18〕
「び、び、びっくり…した…」
自分の布団は一人で寝ているはずだが、目を覚ましたら事もあろうか鬚切がすぐ横にいて美しい寝顔を目の前で見てしまった。
何かされた訳では無いものの、一人で顔を赤くして、一人で「あぁぁぁ、あんな綺麗な顔、ずるいぃぃぃ」と審神者は悶える。
審神者がそんな状況の中、驚いて走っていた前田を見付けて声を掛けたのは近侍の加州清光だった。
「前田、どうしたの?主は起きた?」
品行方正な前田がばたばた廊下を走るなんて珍しい、と加州は前田に聞くと、前田はぜーはーと息をつきながら、衝撃的な言葉を口にする。
「たっ、たっ、大変ですっ。主様がっ、鬚切様と同衾されてますっ」
「はぁ!?」
その場に居た全員が前田を見やる。
「えっ、えっ、どういう事?」
「主、鬚切とデキてたの?」
「髭切もおっとりしてやるなぁ」
「膝丸が泣かないか?」
好き勝手な事を言って盛り上がる男士たちのところに、膝丸がやって来る。
「膝丸、泣いてないか?」
声を掛けられ、意味が分からず首を傾げる膝丸に、他の男士が茶々を入れる。