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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第34章 誰も知らぬ過去 〔不知火空抄〕


「ちょっと待て、今、調べる…ん…これ、幻の刀じゃないか!」

何やら板みたいなものを取り出し、それを見ながらぼくを調べていたヒトが声を荒げた。

「幻?」

「あぁ。この錆びているとはいえ黒い刃。たった一振りだけ作った不知火の刀だよ」

「聞いた事あるぞ。その一振りが真っ黒な刃で作るのを辞めてしまい、本人はその後病気で死んでしまったってあの刀か」

ぼくを鞘から抜いたヒトは、ぼくを見ながら、やはり驚いた表情でぼくを見て更に言う。

「それに、これはあの日輪刀として使われていた刀だろう?今では日輪刀は残っていないから、ものすごい貴重なものじゃないか」

「ああ、そうだ。まさか日輪刀が残っているとは思わなかった。すぐ戻ろう」

そしてぼくを鞘へ戻すと、二人はぼくを自分たちの時の政府へ連れて行った。



そしてぼくはお面の刀工とは違うヒトに、磨かれることとなった。



あの時とは違ってやたら冷たい感じのする場所で磨かれ、刃が相当悪くなっていたぼくは磨り上げられ、それまで打刀だったのが脇差として生まれ変わった。



「さて、これを顕現させられるのは…あの本丸の審神者か?」

ホンマルとはなんだろう?そしてサニワとは誰だろう?



ぼくはそして時の政府から持ち出され、また違うところへ連れて行かれる。



どうもホンマルというところへ連れて来られ、目の前に座るヒトのものになるらしい。

こんな細いおんなのヒトが、ぼくを扱えるのだろうか。

どう見ても鬼を退治してきた彼と同じようには思えないけれど、そのヒトは言った。
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