第6章 愛は咲く 〔一期一振/R18〕
とりあえず一期を私に当てられた部屋へ運びたい。
すると、状況を知ったこの本丸の刀剣たちが部屋を覗きにきたので、私はお願いした。
「お願いします、刀剣様がた。一期を…彼を、私が使った部屋へ運んでいただけませんか?お願いします、おちからを貸してください」
刀剣たちは顔を見合わせ、すると一人のからだの大きな刀剣が前に出てきて、無言で一期を肩に担いで部屋へ運んでくれた。
「ありがとうございます」
私が礼を言うのを見て、何故か驚く刀剣たち。
後で知ったが、彼等はあの審神者の彼女に物扱いされ、礼など言われた事がなかったという事だった。
この本丸の刀剣がたが水や薬、そしてからだを拭くための湯おけなどを用意してくれたので、私は一期のからだを拭き、貸してもらった浴衣に着替えさせた。
彼女に暴力をふるわれたのだろうか、一期のからだにはあちらこちらにあざや傷があった。
私は目を背けたいけれどこれを事実と受け入れなくてはならず、歯を食いしばって涙を我慢して一期のからだを丁寧に拭いたのだった。
水差しで水を含ませると少し飲んでくれた。
ごめんね一期、迎えに来るのが遅くてごめんね。
酷い目に遭わせてごめんね。
この時代へ一人で派遣させてしまってごめんね。
心の中で一期に謝り続けながら私はずっと付き添う。
こんのすけが、一期が目覚めるより先に戻ってきた。
抵抗がひどくなかなか大変だったものの、彼女を時の政府に引き渡してきたという。