第6章 愛は咲く 〔一期一振/R18〕
私は礼を言って急いで、彼女の部屋へ入る。
敷きっぱなしの布団を見、昨夜の事を思い出して苦しくなる。
でもそんな事を考えている暇はない。
急いで部屋を探すと、彼女の机の引き出しに鍵を見付けた。
その鍵を掴み部屋をあちらこちら見て回り、教えてもらったキャビネットに鍵がかけられるようになっているのに気付き鍵を回す。
すると壁の一部が音をたてて動き、小さな部屋が表れた。
「一期!」
私は叫んだ。
ぐったりとして横になる一期がそこにいた。
急いで一期へ駆け寄り、一期に触れる。
「一期!一期!」
揺するとうっすらと目を開けた一期は、焦点の定まらない目をあちらこちらに動かし、そしてゆっくりと私が誰であるか気付いたようで何故という表情をした。
「ごめんなさい、助けるのが遅くなって。あの人は捕まったの。私は貴方を迎えに来たの。もう大丈夫から…みんな待ってるから帰ろう」
一期をぎゅっと抱き締める。
ずっと会いたかった、触れたかった、抱き締めたかった一期が今、ちから無くぐったりと横たわっている。
この状況では私一人では連れて帰れないが、こんのすけはあの審神者を時の政府に引き渡しに行っているから、すぐには戻って来られないだろう。