第33章 すいーつ王子の甘い指導 〔小豆長光/R18〕
「お…お菓子…です、か…?」
突然の雰囲気の変化に驚く主は目を丸くするものの、小豆の手にある色どりの美しい季節羹を見て、感嘆の声をあげる。
「わぁ、綺麗!これ、小豆さんが作ったの?」
「あぁ、そんなに難しくはない」
「でも手間はかかっているでしょう?食べるの勿体ないくらい綺麗ね」
お茶を淹れますね、と主は立ち上がり、茶器を出して日本茶を湯呑ふたつに注いだ。
「いただきます」
菓子切りを手に羹を切り、口に入れるとつるりとした食感であっという間にひとくちを食べてしまえる。
「つるんとした食感で美味しいわぁ。これなら夜に食べてもカロリー低くて安心ね」
んふ、と美味しいものを食べて嬉しそうにしている主に、小豆も「それは良かった」と品の良い笑顔を浮かべて、自分も羹を口にした。
「ごちそうさまでした」
食べ終えたお皿を重ねる主に、小豆はもうひとつ菓子がある、とポケットから何やら小さなタッパァに入ったものを取り出した。
「なに、これ?」
蓋を取らないので何が入っているのかわからず、タッパァを横から覗きこむ主に、小豆はタッパァをことんと茶卓の上に置くと、そのまま主の手を引き込み、主のからだを自分のからだにぶつけるように抱き寄せた。