第33章 すいーつ王子の甘い指導 〔小豆長光/R18〕
「どうしよう…どうしよう…どうしよう…私ってば、淫乱女みたいじゃない…待ってますなんて…部屋でお待ちしてます、なんて…」
小さくぶつぶつと呟きながら、両手を頬に当てて部屋をうろうろする主は、いつものジャージ姿だった。
そこへ廊下を誰かがゆったりと歩いてくるのが聞こえ、うろうろしていた足を止める。
「この歩きかたは小豆さん…」
いっその事どこかに隠れるところはないか、と左右を見回すもののどこにも隠れるところは無く、その場で座りこみ近くにあった座布団を手に取り抱きかかえた。
「失礼する」
すらりと静かに障子が開き、小豆が主の部屋を見回すと、目の前に座布団を頭の上にかぶせて小さくなっている主の姿が目に入った。
静かに障子を閉めると小豆はすたすたと近寄り、座布団をひょいと取り上げた。
「何故座布団を頭に被るのだ?」
座布団を横に置きながら小豆は主の目の前にきちんと座ると、小さくなっていた主は恥ずかしそうにぼそぼそと言った。
「はっ…恥ずかしいん、です…待って、ます、なんて…お待ちしてます、なんて…まるで私が淫乱みたいで…」
「…そんなことはないぞ。私は嬉しかったが」
小豆の言葉におそるおそる主は顔をあげると、目の前に真剣な顔をした小豆がじっと主を見つめていた。
「あ…の…」
「菓子を持ってきた、食べようか」
途端、小豆は微笑んで、ずい、と菓子の入った器を主の前に突き出した。