第33章 すいーつ王子の甘い指導 〔小豆長光/R18〕
小豆は隣でうつむく主の両肩を自分の両手で押さえるように掴み、主のからだごと自分のほうへ向かせる。
「…きみのその言葉は…私を受け入れてくれていると思って、良いのだろうか…?」
恥ずかしく思う主は顔を上げられず、そのまま本当にかすかに頷いた。
その動きに小豆は溜飲し、自分の頭を下げると主の耳元でそっと囁いた。
「…雅…」
初めて呼ばれた自身の名、それも魅力的な低音で耳元でそっと囁かれ、ぞわりと主の背中に悪寒のような震えが走る。
それに驚いて思わず顔をあげる主の目の前に、小豆の端正で男らしい顔が入り身じろぐと、それに気付いたのか小豆が苦笑したように小さく笑い、肩に置いた手を離した。
「驚かせてしまったようだ、すまない」
そして小豆は使った食器の片付けをしようと主の側を離れ、無言で食器を洗い始めた。
「…食器、拭きます…」
布巾を手にし、洗い終えた食器を拭いて片付ける審神者と小豆の間に無言の妙な空気が漂うものの、お互い何も話さず片付け終えた。
「では私は謙信たちのところへ、様子を見てこよう」
手を拭きながら小豆が主のほうを見る事なく言い、台所を去ろうとした時、審神者は自分でも驚く言葉を小豆に投げかけた。
「あのっ…今夜…部屋でお待ちしてます…」
その言葉に動きを止める小豆は、ゆっくりと振り向き主を見返すと、主本人も自分の言った内容に驚いたように小豆を見つめ、それでもこの状況を打破するように「待ってます…」と再度述べたのだった。