第33章 すいーつ王子の甘い指導 〔小豆長光/R18〕
「小豆の粒をすぱんと二つに割ったから、その名が付いたのですね?」
顕現したばかりの男士は本丸にもヒトの姿にも慣れてもらうため、主の近侍としてしばらく付いてもらうのがこの本丸の習わしだったため、小豆長光も多分に漏れず近侍として付き添っていた。
「あんな小さな小豆の粒を綺麗に二つに斬ってしまうなんて、さぞ切れ味の良い刀なのでしょうね」
そう言いながら主は今の事に慣れたらすぐ内番に回して、早い時点で戦いに出そうかと考える。
堂々たる体躯は刀を振るってこそ映える姿だろう、と思う。
顕現された時の、凛として辺りの邪悪なものを払うような気品を持つ小豆なら、さぞすぐ部隊に組み込んだら活躍する事になるだろうと予感する。
少しぼんやりしていると、小豆から質問される。
「きみはスイーツは好きかい?」
「…へっ?すい、…つ?甘いもの、ですか?」
突然の似合わない質問に驚く主に、小豆は頷き品良く微笑む。
「あぁ。私はこうみえて実はスイーツ作りが得意なのだよ」
「はぁ?えぇ?パ…パティシエですか?小豆さんは?」
小豆の言葉に驚いて変な声を出す主の返答に、首を傾げる小豆は「ぱ…ぱてし…?」と主の言葉の理解が出来なかったらしく、主はパティシエの意味を教えると小豆は納得して「あぁ」と一人頷いた。