第32章 夜を独り占め 〔膝丸/R18〕
陸奥守吉行は元の刀の主の性格を受け継ぎ、明るく分け隔てなく男士と接する刀剣男士だ。
だから誰かに特別な感情を持つと、明らかに違いが出るのでわかりやすい。
そんな男士が主との接しかたに何か特別な様子は見受けられず、だからこそ俺は、我が主と他の刀剣男士との間には何も無い、と断言した訳だ。
「…そんな男士…いないよ…」
ようやく答える主に俺は詰め寄る。
「では、俺の事を特別に思って欲しい。俺だけを…俺に主の全てを…俺に…」
俺は壁に張りつくようにさせた主の肩に自分の頭をくっつけて、怯える主を抱き締めつつ怖がらせないように優しく囁き後頭部を撫で、ゆっくりとそのまま畳に押し倒した。
「…あの…えぇ、と…」
もじもじする主に俺は小さく笑い掛ける。
「俺に全て委ねて欲しい。悪いようにはしない」
戸惑う主に、このまま押し切るのが良いと判断した俺は、半ば強引にコトに及ぶ事にする。
「主…いや、雅と呼ぼうか…口を開けて」
主の名前を呼び口を開くように言うと、何をされるのかわからない様子のまま、素直に口を開く。
俺は「いいこだ」と言うと、顔を近付け口付けると、そのまま自分の舌を主の口内へ差し込み、主の舌を一瞬掴まえると主のからだがびくりと硬直し俺の舌から逃げるものの、俺の舌が追い掛け捕まえ絡ませる。
「ん…ふっ…う…」と主が小さく声を漏らすが、それすら俺には愛らしくて全身がぞくぞくと高揚するのを感じる。