第6章 愛は咲く 〔一期一振/R18〕
彼女は持っていた扇を開いて、私に扇ぐようにこちらに風を送ってきた。
彼女のつける香水が、風とともに強烈に香ってきて、そのきつい匂いにくらりとする。
でも…それは本当?一期から聞いたなら諦めるから、だから、私は言い返した。
「先輩審神者様でもお断りします」
顔をあげて、しっかりと彼女を見て断る。
「本人の口から残りたいという意思を聞いたなら別ですが、そうではなく会いもせずに帰れと言われても帰れません。一期に会わせてください」
「はぁ?何なの、生意気な。会わせないわよ、あれはもう私のものなんだから」
「勝手に貴女のものにしないでください。一期は一期です。私のものでもありませんから!」
私は腹が立って怒鳴る。
刀剣男士たちは自分のもの?貴女はなにさまなの?
違うでしょ?彼等は彼等。
あくまで審神者は刀剣を励起(れいき)させる者。
私がそう言うと、彼女は高らかに笑った。
「あんた、バカね。刀剣は物よ。私に嫌われたら刀剣は潰される。だからあいつらは私に嫌われないようにする為に必死。面白いわよね?私はこの本丸で一番偉いのよ。あんたもそうでしょ?それに刀剣たちは顔の良いおとこばかりだから、毎日の相手に困らないしね」
「…ちっ…違います、あのかたたちは付喪神…神様です。神様にそんな事言うなんて…」
私が叫ぶように彼女の言葉を否定すると、彼女は赤く塗られた唇を歪めて言った。
「あんた、許せない。先輩審神者である私に盾突くつもりね。処罰してやるわ」