第32章 夜を独り占め 〔膝丸/R18〕
「そ、それは…そのぅ…」
もじもじしながら主が口を開くが、彼女なりに説明しようとしてくれているのだろうか。
「…ええと…あの…おとこの人の…」
「いいよ、他の男士に聞いてみよう。主に聞く事でもないだろう?」
余りに赤くなって涙目になっている主を見ていたら、意地悪をしているようで罪悪感を感じ答えさせないようにしてしまった。
「…そ…そう?…ごめんなさい…」
しょぼんと小さくなって謝る主が愛おしく、つい、俺はそのまま主にいざり寄ると小さな主のからだをぎゅっと抱き締めてしまった。
「…え…あ…?」
何が起きたかわからず戸惑う主に、俺は「可愛い…」と呟くように言いながら、主の後頭部を撫でつつ言う。
「主…俺が主に懸想していると言ったら、どう、思う?」
「…え…け、そう…?」
意味がわからなかったらしく俺の腕の中でしばらくおろおろとしていた主は、ようやく意味に気付いたらしくからだを硬直させた。
「え…と…懸想って…えっと…」
「そう、俺が主を自分のものにしたいって言ったら?」
「…ええっと…それは…その…ぉ…えっと…わかり、ませ、ん…」
俺の問いに『わからない』と答えた主も主だが、彼女も相当動揺しているらしいと見て取り、俺は主の肩あたりに自分の頭をさげ、耳元で囁くように小さい声で言った。