第32章 夜を独り占め 〔膝丸/R18〕
駄目だ、あまりにおかしくて俺は「ははは」と下を向いて笑い出してしまった。
それを見て主は「あ、笑った、ひどい」と言って頬を膨らませたものの、結局は「仕方ないな」と苦笑しながらも、一緒になって笑う。
その笑う主の顔を見て俺は驚く。
それまでのびくびくした表情から一転、可愛らしい表情を見せるじゃあないか。
これは案外拾い物の主かもしれないな、他の男士はどうもここの主には興味が無いようだし。
俺はこの主を俺のものにしてしまおう、と、この瞬間決めた。
それから『顕現したてでいろいろと慣れていないから』と、主の側に置いてもらえるように頼み、主もそれなら、と俺を近侍にしばらく据え付けてくれる事になった。
一緒にいる事で真面目に審神者の仕事を手伝ったり、休憩中にくだらない事を話したりして、徐々に俺に対して心を開いているのが手に取るようにわかる主が、俺からみても可愛らしく思えていた。
ある時、わざとヒトのからだの仕組みがわからない、と主に質問をしてみた。
「私でわかるかしら…?」
「朝、起きるとからだの一部分が硬く勃ち上がっているのがわからないんだ」
途端、主は顔を真っ赤にして下を向き、困惑しているのがありありとわかった。
ああ、そうだ、わかっていて俺はヒトのオトコの生理現象について聞いたんだ。
人間の正常な若い男にはあるべき現象で問題は無い、とその辺の処理の仕方については顕現したての頃に、他の男士から聞いて知っていたし、その時に刀剣男士用の風俗があるという事も教えてもらっていた。
そしてこの本丸の男士は、主に興味が無い故、割と頻繁にそういうところへ行っていた。