第31章 独占の星 〔三日月宗近〕
「…俺が綺麗?」
空から隣に座る主を始めて見やると、主は俺のほうをいつの間にか見ていた。
「うん、夜のほうが三日月の綺麗さが際立つね。それにその蒼い目の中に月が輝いてる」
確かに目の中に細い三日月は有る。
「…そこまで言われたのは初めてだ」
俺が言うと、主は少し慌てたように言う。
「あ、ごめん、私のあくまで勝手な考えだから気にしないで」
「…そういう主も全身星を纏って美しいぞ」
「…は?」
俺の言葉に目をぱちくりさせる主。
俺は顔を近付け、主の耳に囁く。
「どうだ?俺が主のからだに赤い星をたくさん付けてやろう」
「…からだに赤い星…あっ!」
俺の言った意味に気付いた主は、みるみるうちに顔を赤くする。
「みっ…みか、づき…」
そして主は手を伸ばして俺の着物の端を握る。
「ん?俺の提案はどうだ?」
俺はあと少しで唇が触れそうなところまで顔を近付け、主の真っ赤に染まった顔を覗く。