第31章 独占の星 〔三日月宗近〕
「…み、みか…みかづき…」
しどろもどろになっているものの、その主の表情は俺への期待に溢れているのが見てとれる。
「…主、良いな…?」
俺の畳みかけるような言い方に、主は瞳を揺らしながら答える。
「…いい…よ…」
俺は片手を伸ばし、主の肩を抱く。
「俺だけの主とわかるように、たっぷりと星をからだ中に付けてやろう」
「…服に隠れないところは止めてよ…」
主の少し膨れたような言い方も俺には愛らしく思えるのみ。
「あいわかった。では」
俺は主の肩を更に抱き寄せると反対側の手で膝裏を持ち上げ、横抱きにして立ち上がる。
「ちょ…自分で歩ける…っ」
慌てた主が俺の腕の中で足をバタつかせるが、俺はふっと小さく笑む。
「何を言っている。主を寝床へ連れて行くくらい、このじじぃでも出来るぞ」
布団へそっと主をおろすと、俺の首へ両腕を回してくる主に、俺は顔を近付け口付けながら主を蕩かしていく。
空の星が青白く瞬き万人へ平等に光を投げかけるなら、地上の主の星は俺が付ける赤い独占の証。
主は俺の愛を全身に刻ませられ、そして俺の愛を受け入れるのみ、なのだ。
<終>