第6章 愛は咲く 〔一期一振/R18〕
彼女は私の菓子をつまらなさそうに見やり、近侍として侍っている刀剣に言い渡した。
「あんたたちで食べるといいわ」
刀剣は軽く頭をさげると、その菓子折りを引き寄せ、どこぞへ持って行った。
彼女は私を舐めまわすように見て言った。
「ふぅん。あんたみたいなちからの無さそうなのが、よく審神者になれたわねぇ。余程あんたの時代にはちからの有る者が居ないようね」
「…ちからの有る無しは私が判定するのではなく、時の政府が決めた事ですから、私にはわかりません」
本当の事を正直に伝えると、彼女は眉をしかめる。
「私に口答えするなんてずいぶん生意気な審神者ね。あんた新米なんでしょ?先輩審神者である私に敬意を払わないなんて失礼よ」
「…申し訳ございません、審神者様」
あまり機嫌を損ねてもいけないのですぐ謝ると、彼女はにやりと笑み、頷いた。
「あら、ちゃんとわかっているじゃない。で、目的は…そうそう、あんたの一期一振だわね。とりあえず今日は遅いから泊まって、明日この件について話しましょう」
パンと彼女が手を叩くと襖が開き、控えていた刀剣が顔を出した。
「お客を部屋へ案内しなさい」
刀剣によって一部屋を与えられた私は、尋ねた。
「貴方様が知っていたら教えてください。私の一期一振はどこに居ますか?」
案内してくれた刀剣は無表情でこちらを見ていたけれど、一言だけ去り際に言った。