第30章 He is a NOT boy. 〔大和守安定/R18〕
数日、約束で加州清光が近侍として審神者に就いている。
時々加州に何か聞きたそうにする審神者に加州は気付いていたものの、わざと知らん振りして過ごしていた。
「めんどくさい事に巻き込まれたら嫌だもん」
近侍の仕事を終えて部屋に戻った加州は、最近の審神者の態度を大和守に話し、何も聞かない事を問われて「めんどくさい」と答える加州に大和守は怒る。
「もうっ、どうして話しを聞いてあげないのかなぁっ」
「だったら安定、きみが聞いてあげれば良いじゃない。明日の近侍、俺の予定になってるから、また安定に譲るよ?」
「…わかった、ぼくがやる」
翌日、大和守が審神者の部屋へ行き、加州と代わって近侍をやる事を伝えると、審神者は目をあからさまにそらせつつ了解の答えを口にする。
『やだ…加州ってば、どうして近侍を大和守に代わっちゃうのよ…だったら他の男士にすれば良いのに…』
内心、先日の事が未だに頭から離れず、大和守と目線が合わせられずにいる雅に、何か怒らせたのかと大和守は気になって仕方なかった。
二人でそわそわと落ち着かない状況で仕事を始めるものだから、互いにミスし合いなかなか仕事がはかどらない。
片方がミスし、片方がそのミスを発見して訂正する、そんな状態を繰り返し、先に匙を投げたのは雅だった。
「あー、もう、お互いミスが多くて仕事が進まないから、今日はもう止めよう」
ぱさりと書類を一枚投げ落とし、机に突っ伏す雅を見て、大和守は思い切って問うた。